『ペイ・フォワード』

 貨幣に代わる新たな決済方法とか、損する孫会員の出ない、きれいなネズミ講みたいな新商法とか、そういう画期的な経済か経営理論を少年が提唱した! って話だと思って、期待してたので非常に惨憺たる結果に。

 この映画の風景って、私が子供のころ、80年代に『E.T.』なんかの映画の中にあった「アメリカ」がほとんどそのままなんですよね。アメリカの子役ってませてるなあとか、アメリカの学校って服装とか授業態度とかこんな自由なんだとか、まだあどけないのに、大人びたセクシーな服や化粧してる同級生の少女とか、親に対して友人みたいな話し方・接し方するんだなとか、親の収入がよくなさそうなのに、広い部屋に住んでるなあとか。

 実際のアメリカ社会がどうなっているか詳しくないですが、ここ十数年だと、映画の登場人物にもアジア系だったり、ヒスパニックだったり、白人以外が混ざる割合が増えてたり、『フローズン・リバー』みたいに本当に貧しい白人家庭だったり、そういう描写が多かったように認識しています。

 少年が提唱した「ペイ・フォワード」運動は、本人も知らぬ間に、遠く離れた都市にまで伝播していた、という展開だったので、『ファイトクラブ』のように、ペイ・フォワード理論の信奉者たちによる地下コミュニティが発達して… という話でももちろんありませんでした。 

"Pay It Forward"(2000年 監督:ミミ・レダー)