『グランド・マスター』

 ひとことで言いますと「そんな狭いところで闘わないでください」と。

 狭い屋内で格闘したほうが、投げ飛ばされて椅子が砕けたりいの、窓ガラス突き破ったりいの、と見映えがしそうなのはわからなくもないですが。たとえばどこかの家に忍び込んだときに起きた遭遇戦とかって状況なら必然性はあります。でもここでは、拳法の流派が交流戦をするという、いわゆる武闘会みたいな状況にも関わらず、屋内の廊下だとか階段みたいなところで、やけに狭苦しそうに格闘するのですね。

 二人で会話してるにもかかわらず、南方流派の梁朝偉は広東語を話し、北方の章子怡はずっと北京語で答える。ああ、でもたとえば関西弁の人と話すときに、相手に合わせて関西弁にしたりしないで地の言葉で返すし、そんなものなのか。もっとも広東語と北京語って、方言というよりは別言語くらい違うらしいですけど。

 あと、もう一人いる主演・張震は本筋にはまったく絡んできません。どうして出てきたんでしょう。

"一代宗師"(2013年 監督:ウォン・カーウァイ