劇中人物の役割分担に思う

 『ストライク・ウィッチーズ』(全12話)を観た。

 少女たちが履く「ストライカーユニット」や、魔力を使うときに耳や尾が生えるところなど、視覚コンセプト、キャラクターデザインとしては非常に魅力的なんですが、本筋のほうは脚本が粗すぎて残念なところ。物語では明示されていない、世界設定がいろいろあるようで、漫画版や小説版なども合わせて、世界の奥行きを楽しむような作品なのかもしれないので、これはあくまでTVアニメ版のみを観た評価。

 あと観ていてしんどかったのは、主要キャラクターが多すぎて憶えられない、見分けがつかないこと。12話まで観て、名前と顔がなんとか一致するのが4人くらい。一応、順々に各キャラクターに焦点が当たる回があるんだけど、そのエピソードを経てもあまり印象に残らなかったりします。

 先日観た『ブラックホーク・ダウン』も、原作に登場する人物はもっと多いようですが、複数の人物を映画では1人にするなど整理統合しているとのこと。現実の組織は分業化されてますし、先端技術なんかはそれぞれ専門がいたりするします。とは言え現実に則して、それだけの数の人物を登場させてしまうとわけがわからなくなりますし、それぞれ担当部分しか出てこなくなってしまうので、映画なんかでは主役が活躍して、一人であれもこれもこなすほうがいいわけです。

 『ストライク・ウィッチーズ』では、主要キャラクターが多いわりに、いわゆる脇役に魅力がない、というかほとんど出てこないのもアンバランス。「ウィッチーズ」は、軍隊組織の一部なのだし、彼女らが装備する「ストライカーユニット」の開発や整備担当者なんかにキャラクターを配置してもよかったのかなと思うのですが(整備士がほとんど見えない理由は劇中で言及されてはいますが)、徹底して同じウィッチの少女たちしか出てきません。それもキャラクターが判別しづらかった原因かもしれません。また敵役も、人格のない相手だし。こういった脇役、敵役に魅力的なキャラクターを配せなかったあたりも、作品評価を低くせざるをえないところでしょう。