はじめて漫画を読んだ日のこと

5歳のころ、先天性の異常の手術のために入院していたことがあって、そのとき母親に漫画の読み方を教わって初めて漫画を読んだ。
「漫画の読み方」といっても、コマの読む順だとか、フキダシが何を表してるとか、なにしろ初めて読むので、そういうのもわからないわけです。

母親に漫画をすすめられたときに、「そういうのは悪い子の読むものだから嫌だ」と泣いたのは憶えている。絵本を読みたがったのだけど、絵本はページも少ないのですぐ読み終えてしまうし、買い足すにしても、いま思えば値段もするし。

ただ、当時の自分が「漫画は悪い子が読むもの」という認識をどうして持ったのかがわからない。誰かにそう教えられたのかもしれないし、もともとけっこう潔癖性で、いかがわしそうなものとかはその後も毛嫌いするたちだったので、自分でそう感じてたのかもしれない。

でも父親がビッグコミックを購読していて、家の中にも漫画はあったので、それを不潔と感じてたかどうかは心許ない。あるいは父親が読んでいたので、「悪い子が読むもの」じゃなく「大人が読むもの」だから、という理由で読むのを嫌がったのを記憶違いしているのかもしれない。