「カラオケボックスから、武道館ライブまでが地つながりの世界」

 「カラオケボックスで歌っていたつもりだったのに、それが突如、武道館のような大舞台に立っていた」

 これは十年ほど前、ブログブームのころ目にした比喩。
 ブログの登場によって、多くの人が容易にウェブ上に文章を公開できるようになった。ごく個人的な日記を書いてたり、限られた知り合いどうしで見せ合う文章のつもりでいても、ウェブ上に公開されていると、世界中からアクセスができてしまう。これはもちろんブログに限ったことではないけど。

 "イラストや作曲など、ウェブが作品発表の場になって、近年の創作者は成長に応じた段階を踏むことができなくなった。それで潰れてしまう創作者もいる" そんな話題を先日読んだ。「1」だったものが注目を浴びて、一夜にしていっきに「100」まで上ることもできるのは、ウェブこそが持つ可能性だけど、それは諸刃の剣でもあるということ。実力・経験がついていくのに応じて、少しずつ大きな舞台へステップアップしないと、身の丈に合わないものを背負うと潰れてしまう。

 SNS のように「会員まで」、「親しい仲間まで」といった公開範囲を切り分けられるものは兼ねてからあるけど、「ステージを上がっていく」のはまた違う概念だし、また公開範囲の設定のように、本人の気持ちだけで選択できるものでもない。そもそも「自分の実力や経験に見合うこと」は、実力や経験がないと適切に判断ないことが多いわけで。

 ウェブが制御しようのないシームレスな世界なんだったら、作品発表のプラットフォーム(ウェブサービス)側が、そのユーザーの成長に応じて、半強制的にステージを調整する仕組みをもったらおもしろいかも、とか漠然と考えた。